香港の食の奥深さを知る
主人公の香港人はコラムニスト、料理評論家として香港では高名。その主人公の半生を通じて、香港の食、広東料理を中心とする中華料理の奥深さを知ることができる。話の運びがうまいので、読みやすい。香港好き、香港の料理好きにおすすめの一冊。ただしガイドブックではないので、店の紹介、店情報をこの本に求めてはいけない。(松本敏之)
料理評論家の半生を通して語られる香港の食の歴史
この本の主人公(ウェイ リン)は,香港では著名な料理評論家だそうだ。香港の中華料理を誰よりも愛したウェイ リンの伝記は,必然的に香港の食の歴史にもなる。料理名や調理方法,料理店名が数多く現れるが,ウェイ リンの体験を通して語られるので,決して無味乾燥にはならない。飲茶の様式の変遷,料理人の社会的地位,料理店の成功あるいは失敗の物語,料理や食材の名称の縁起を担いだ語呂合わせ等々,料理と関連のある,香港の社会や習俗,中国語についての様々な記述も興味深い。この本を読み終わる頃には,香港で中華料理を食べたくなってしまう。 ただし,料理店ガイドをしての実用性を本書に求めるべきではない。料理人が料理の水準を長期間保つのは難しいので,本書で紹介されている過去の名店が必ずしも現在も良いとは限らないからだ(言うまでも無いが,このことは本書の価値を減じるものではない)。
白水社
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