???ビジネスウィーク誌とハリス社が行った世論調査によると、インターネットユーザーは選択肢があまりにも多い環境では、一度訪れたサイトを何度も訪れる傾向にあることと、特定の「eブランド」に固執し、そのブランドの商品やサービスを繰り返し購入する傾向にあるという結果が出ている。具体的には、ネットユーザーの半数以上にあたる57%が同じサイトを繰り返し訪れており、サイトからサイトへアクセスしていないこともわかっている。つまり、「eビジネス」を基盤とする企業にとって最も重要なことは、ネット市場でいち早くブランドの座を確立すること(あるいは勝ち取ること)であり、それが最終的には生き残りにつながり、莫大な利益をあげることになることを意味しているのである。 ???1999年9月13日号の「The Industry Standard」誌に掲載された"Tracking the Internet Economy:100 Numbers You Need to Know"(Maryann Thompson)によると、電子商取引の市場規模は、2003年には個人消費レベルで1兆3000億ドル、企業間取引レベルで1兆5000億ドルという巨大な市場になると予測されている。また、ホームページ上のネット広告は2004年までに毎年約220億ドルの収益が見込まれているという。「eビジネス」には巨大な市場が約束されているといっても過言ではないだろう。???本書は、「eブランド」の確立に挑戦し、成功しているネットベンチャー企業5社に焦点を当て、彼らがブランド構築に費やした努力やプロセスなどを分析し、「eブランド」確立に必要不可欠な新しい戦略や戦術などを導き出したものである。その5社とは、書籍や雑誌、CD、ソフトウェアなどをオンライン販売する「バーンズ・アンド・ノーブル・ドットコム」、検索サイトの「ヤフー」、スポーツ用品販売の「フォグドッグ・スポーツ」、女性向けオンライン・ネットワーク・サービスの「アイビレッジ」、オークション・サイトの「オンセール」である。1社ごとに1章分を使い、その生い立ちから「eブランド」確立までの軌跡を追っている。eビジネスにかかわるビジネスマンにとって必読すべき書ともいえる。ドキュメントとして読んでもおもしろい。(辻 秀雄)
インターネット上でのブランド構築
本書は、eビジネスで有名な企業を取り上げ、どのようにしてインターネット上でのブランド(eブランド)構築を成し遂げたかを論じている。著者は、数社の事例研究から基本的な類似点を見いだし、それを「ベスト・プラクティス」として整理している。本書は、eブランド構築のノウハウを教えるだけでなく、リアルとネットの両方でのビジネスを目指す「クリック&モルタル」戦略のための参考書としても役立つ。 しかし、訳書と原書の違いには疑問を持つ。原書は6社を事例に取り上げているが、訳書は5社しかあげていない。私が最も読みたかったCDナウ社が抜けているだけでなく、5社にした理由も書かれていない。e企業、t企業という原書にはない言葉が訳書では中心的な位置を占めるし、バーンズアンドノーブル・ドットコムをBNドットコムと表記することもおかしい。原書では一貫してBarnesandnoble.comと書かれている。ウェブ・サイトでは、小文字のbn.comとなっているが、大文字のBNドットコムという表記は見たことがない。読者への「受け」を狙ってのことと推察されるが、こうしたやり方には疑問を持たざるをえない。少なくとも訳者が原書を読んでいるなら、そのことを訳者の言葉として伝えて欲しいものである。原書の価値を損なっているようで残念でならない。
ダイヤモンド社
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